【書評】「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」(ひろゆき)


僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54) 僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書 54)
ひろゆき

扶桑社 2009-05-29
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「そのユルさ、IT癒し系」

2ちゃんねる元管理人「ひろゆき氏」のIT業界に関しての考察を書いた本。

まずは目次を紹介、

「チャンネル」に関する全国300人アンケート

「1.0」まずは結論
2ちゃんねるが潰れない理由/2ちゃんねるの未来

「2.0」ITのウソ
Web.2.0はマイナイオンと同じ/グーグルのオープンソース/「Don’t be evil」はこう訳す/A株とB株/すごいのは企画力と営業力とサーバーメンテナンス/はてな?/「大麻」で検索してみる/ミクシィ株は高い/IT企業の時価総額/もしも堀江さんが逮捕さていなければ……/企業が儲かっても国民は儲からない/孫正義の怪気炎/ビル・ゲイツは偉大

「3.0」明るい未来への誤解を解く
Youtubeが買収された理由/ニコニコ動画、存続の危機!?/人が集まる動画コンテンツ/素人でも面白い動画が作れた/動画CMは見ない/Youtubeは発明ではない/CGMで大儲けできるかな/CGMの成功例/頑張れセカンドライフ/つまらなさを認識させない複雑さ/微妙なRMT市場/RMTはWeb3.0?/マイクロソフトのビジネスモデル/ビジネスソフトの今後/BtoCで成功している企業はBtoBで失敗する/インターネットの未来

「4.0」
対談 佐々木俊尚 ひろゆき/西村さんの言ってることは、身も蓋もなさすぎてついていけない/そも/そもインターネットはWeb2.0/西村博之は悲観的である/2ちゃんねると公共性

「5.0」間違いだらけの法律
2ちゃんねる裁判/ウィニー裁判とスピード違反/宇宙旅行と刑務所/法律で止められる技術革新/トンデモ法律/法律を逆手に取る/日本の法律のいいところ、悪いところ/禁煙とインターネットの違い/チャイルドポルノはなくならない/ダウンロード板の”神”は鼠小僧

「6.0」メディアと2ちゃんねる
2ちゃんねるの高齢化/西村博之のニュース性/インターネット事件のカラクリ/新聞より2ちゃんねるを信用する人々/集合知を疑え/管理人を続ける理由/スーパーフラット2ちゃんねる

「7.0」対談 小飼弾 ひろゆき
2ちゃんねるは、僕が潰させませんよ/2ちゃんねる為政者側説に迫る/インターネットは稼げる/思考の止め方がわからない/世界が極端に狭くなった/優秀な技術者は優秀な経営者なのか?/みんなハードウェアに縛られている/本当に必要な技術/人間のI/Oデバイスはしょぼい/2ちゃんねる、中国進出か?

あとがきです

タイトルになっている「2ちゃんねるが潰れない理由」については、最初の数ページで説明が終わってしまう(笑)。
その後は、ひろゆき氏のIT界についての考察が展開されていく。

映像等でひろゆき氏を見ると、いつもひょうひょうとしていて、軽い感じの人間に思いがちだが、本書を読んでみると、一つ一つの物事に関しての観察眼がとても深いと思える事がほとんどである。
常識や流行思考に流されずに、常に物事の本質を見据えていて、今でもネット業界に大きな存在感を持ち続けている理由が分かるような気がする。
やはり彼は抜群に頭が良い。

後半の対談部分では、読者の事をあまり重要視しない専門用語も含めたトークが展開される。
この変はひろゆき氏持ち前の「ユルさ」で、逆に好感が持てた。

ひろゆき氏の物事の考え方は、いわゆる「合理主義者」という部類にカテゴリされるのだと思う。
合理主義的考え方は、ビジネス時以外では「冷たい」「身も蓋もない」「人間味が無い」といった評価で敬遠される事が多いような気がするが、彼の合理的考え方にユルさが加わると、逆に好感を持ててしまう。
そこが彼の強烈なキャラなんだなぁと。

全体を通して、とても洞察が深くて、各項目が物事の本質に迫っている内容が多い本書であるが、「ユルさ」が全開になっていて、読んでいて疲れないし、変に癒される本である。

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合理主義(Wikipedia)

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