【書評】「脳疲労に克つ-ストレスを感じない脳が健康をつくる」


脳疲労に克つ―ストレスを感じない脳が健康をつくる (角川SSC新書) 脳疲労に克つ―ストレスを感じない脳が健康をつくる (角川SSC新書)
横倉 恒雄

角川SSコミュニケーションズ 2008-05
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「我慢するくらいなら、食ってしまえ」

医学博士の横倉さんが書いた、健康とダイエットについての本。
横倉さんは世間一般で当たり前に使われている「健康」という言葉に疑問を投げかけ、代わりに「健康度」という言葉を使うようにしているという。

P16
「たとえ病気であっても、元気に毎日を過ごしている人は「健康度」の高い人と言えるでしょう。逆に、これといった病気がなくても、元気無く後ろ向きに毎日を過ごしているような人は「健康度」が低いということです」

そして、こう結論づける。

P17
「健康かどうかを決めるのは、病気の有り無しではありません。ストレスを感じずに、前向きに生きているかどうか。つまり、その人が健康かどうかは、医者が決めるのではなく、決めるのはその人自身。その人自身の”心=脳”が決めているのです」

そして、板倉さんが提唱する食事療法は「快食療法」というもの。

以下目次、

序章 病気じゃないから「健康」なのか?
「健康」って何だろう?/「病気も健康のひとつ」という考え方/健康についての不思議な話/人間ドックに引っかからなければ「正常」か?/「規則正しい生活」はかえって不健康になる?

第一章 現代は「脳疲労」時代
現代人は退化している!?/「脳疲労」のメカニズム/脳のプログラムが破綻すると……/ホルモンと脳疲労の関係/脳疲労度チェック/すべての源は脳/ストレスを解消することで新たなストレスを生む/ストレスを感じない健康な脳をつくる/薬はあなたを支える杖に過ぎない/あなたの症状も、脳疲労が原因?

第二章 快食療法で脳疲労に克つ!
脳疲労を解消する快食療法とは?/自然界に太っている動物がいないのはなぜ?/快の法則とは?/まず空腹より始めよ/ダイエットの常識は快食療法の非常識!/快食療法Q&A/中性脂肪が平均の8倍の私が快食療法にたどりついた理由/快食療法の体験者は語る

第三章 五感をもっと活用して健康脳に
五感を活用するってどういうこと?/五感が鈍くなっている現代人/不自由は自由という逆転の発想/騒音の多い現代で私たちが失ったもの/五感療法の種類/なぜ香りで脳がリラックスするのか~快香療法/植物の生命力・エネルギーをもらう/アロマオイルでマッサージ/手で触れることの大切さ~快触療法/頭皮ケアで脳に直接働きかける/日常的にいい景色を見つける~快景療法/耳を澄ませて~快響療法

第四章 脳疲労を防ぐ生活習慣美容のススメ
生活習慣美容のススメ/余裕のある生活が脳を健康にする/禁止の禁止……「~してはいけない」をやめる/生活習慣美容のキーワード/1 快食の法則~「快適スイッチ」とは?/快適スイッチはどうやって入れる?/満ち足りた気持ちが余裕を生む/笑うことと褒めること/快適スイッチを入れる習慣づくり/遊び心を持って仕事や家事をする/その日の疲れは帰宅する前にゼロにする/2 時空の流れ/時空のサーフィン/1分でもいい、時間の余裕を見つける/自分に合った休養をとる/3 感と勘~動物的な感と勘を磨け!/4 人間関係によるストレスを回避する/ありのままの自分を好きになる/まずは相手の言葉や行動を肯定する/自分と相手との間に一定の距離をおく/ナイスエイジングの時代

第五章 私の理想とする医療のあり方
どんな医者が理想なのか?/病も死も健康のうち/クリニックを訪れる人たちが私の先生/健康外来のこれから

おわりに 健康とはあらゆるものに感謝できる心と身体

著者曰く健康を害したりダイエットの邪魔をする原因のほとんどは「ストレス(脳疲労)」とのこと。
そこで著者は「快の法則」を提唱する。

快の法則
1「禁止の禁止の法則」
こうしなければ、こうあらねばと自分を禁止・抑制することをできるだけしない

2「快の法則」
自分にとって心地よいことをひとつでも始める


その上で「快食」をする事を同時に提唱している。


「快食」とは
1 お腹がすいた時に食べること
2 好きなもの・食べたいものを食べること
3 自分の味覚でおいしく食べること
4 まわりの人と楽しく食べること
5 心ゆくまで食べること

著者が提唱する「快食療法」は従来多くあった「○○してはいけない」「○○を我慢する」という内容と真逆のアプローチで、
「我慢するのを辞めなさい、その代わり思いっきり楽しみなさい、”快”を満喫しなさい」
という主旨である。

P53
「ただし、いけないことがひとつだけあります。食べたことに罪悪感を抱くことです。
「食べてしまった。どうしよう……」
そう思った瞬間、すべてがダメになってしまいます。
食べる事は幸せ。だから、食べたらそのぶん幸せになって当然なのです。好きなものを好きなだけ、おいしく食べなさい。それが「快食療法」」

興味深かった以下のようなエピソードが紹介されていた。

P62
「ある患者さんの例です。「ケーキを食べたいんだけどいいですか?」と聞くのです。
「もちろんいいよ。で、いくつ食べたい?」と私は尋ねました。
すると、「3つですが、多すぎますかね?」とおそるおそる話すのです。
「3つなんて中途半端なことを言わないで、それならいっそ1ホールにしたらどう?」
……(省略)
さて、その彼女が1ヶ月後に来院しました。結局、1週間、ホールでケーキを食べ続けたそうです。それも、有名スイーツ店のケーキです。最高の贅沢ですね。ところが、1週間たったある日、食べてしばらくしたら気持ちが悪くなってきて、食べたものをすっかり吐いてしまったそうです。それ以来、不思議と食べたくなくなったというのです。」

著者はこのエピソードに関して

P63
「脳が満足して、本能が目覚め、味覚も正常になってしまったということなのですよ。この方法は誰にでも効果があります。ただし、ケーキを食べるからといって、食事の量を減らすのはいけません。これも一種の禁止の禁止。食事は食事できちんととる。そのあとに、ケーキを思う存分食べるということにしましょう」

著者は本書で徹底して、「快」を追求し「我慢」を排除する事を提唱している。
食事制限を行うダイエットをしている時に、激しくお腹が空いてしまう状態。
これは脳が「食べては行けない」という我慢の連続でストレスが溜まり、「脳疲労状態」になり、栄養を過剰に欲して急激にお腹が空いたりするとのこと。

その時に、我慢をせず思いっきり食べたい物を満足するまで食べて上げる、そうしてしっかり脳に「快」を与えてやることで「脳疲労状態」が解消され、本来体が必要としていない栄養を特に求めないようになるとのこと。

健康とかダイエットって、無意識に「肉体面」に意識が行きがちだけど、「精神面」(本書では脳の健康)も合わせて考えてあげる事がとても重要で、「肉体面」「精神面」のバランスを考えて行動した場合、「一見逆効果」に思える内容であっても、結果的に「健康度」の高い状態になることができるのかもしれないと思えた本書。

よく考えたら、生き生きしている人って、何事も思う存分やりまくっている人が多い印象がしている。

「食べる時は思いっきり食べる」
「飲む時は思いっきり飲む」
「スポーツする時は思いっきりスポーツする」
「遊ぶ時は遊ぶ」
「仕事をする時は思いっきり仕事をする」

これらに当てはまる人って、例外無く生き生きしている。
「我慢」をしていないから「脳疲労状態」に陥らずに、脳は常にスッキリ、つまり「健康度の高い生活」をしているなぁって。

というわけで、

「我慢するなら、食ってしまえ」

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