父、帰る [DVD]
角川書店 2005-04-08 |
あらすじ
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アンドレイとイワンの兄弟は、母親と祖母と共に暮らしており、父親の顔は写真でしか知らない二人だったが、ある日12年ぶりに父親が帰ってきた。これまでどこにいたのか全く語らない父親に当惑する二人だが、父親は明日から二人を連れて旅に出るという。翌朝、3人はつり道具と共に車で出かけるが、父親は行き先も告げず、高圧的な態度で子供達に接する。兄のアンドレイはそれでも父親に好意的だったが、弟のイワンは不満を募らせてゆく。
(Wikipediaより)
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唯々、”感じる”しかない映画であった。
この映画はとにかく説明がほとんどない。
その代わりに、登場人物の表情で彼らの心境を想像する事になる。
「普段観ている映画がどれだけ丁寧に説明がされているか」という事がとても実感できる。
説明がないものだから、私が彼らにアプローチする為には、「考える」という選択肢しかなくなる。
だから、必死で考える。
少しでも、彼らに近づきたい。
何故、父はそうするのか、
何故、兄はそうするのか、
何故、弟はそうするのか、
そうする事で「彼らと私の距離」はだんだん近づいて来る。
しかし逆に「父と子達」の距離は離れて行く。
それは、唯々、もどかしい。
だが、度々表れる「モノトーンの世界」が私を救ってくれる。
そう、この映画は、映像がとても美しい。
思わずうっとりしてしまうような美しいカットが散りばめられている。
まるで、”「父と子達」と「彼らを優しく見守っている大自然という母」という対比”をさせているのではないかと思ってしまう程。
終盤の展開はまったくの予想外で、一瞬戸惑いを感じてしまったが、
それからはストイックなまでにさらに説明がなくなる。
そうなってしまうと、もはや「考える」というアプローチも無意味な事に思えてきた。
だから私は「考える」のを辞めた。
「考える」のではなく、唯「感じる」だけになる。
そうして観終わった時には、言葉は何も浮かばなかった。
上手い具合にあてはまる言葉が見つからない。
しかし、その分言葉にできなかったたくさんの感覚が心に残った。
その一つ一つの感覚は皆違う顔を持っているように見えた。
悲しそうだったり、怒っていそうだったり、嬉しそうだったり、、、
そう、まるで人間を見ているようだ。
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