キングコングの西野亮廣氏が自身の絵本作品をネット上にて無料公開した事が話題になっている。
【お金の奴隷解放宣言。】
http://lineblog.me/nishino/archives/9256089.html
無料公開の記事を見て
「あ、西野さんまた新しい仕掛けをやってきたな。凄いな、これ逆に絵本の売上げが上がるんじゃないか?」
と、思っていたら予想通り、
【『えんとつ町のプペル』を無料公開したらAmazonランキングが1位になった。】
http://lineblog.me/nishino/archives/9256313.html
で、それらが全てニュースになるという。
「あっぱれ。これはやられたな。凄いな」と。
僕は以前から西野氏の物事を見る視点や、ブログやSNSのアグレッシブな活用の仕方をとても興味深く感じていて、書籍も購入したりしていた。
トークイベント「ソクラテスカフェ」にて西野氏が語った「クレジットの三角形」の話しはとても興味深く参考になった。
【キンコン西野が「収入アップの法則」を解説 稼ぎ続けている人は何をしているのか?】
http://logmi.jp/104222
ブログにて炎上が起こるような過激な表現もされているが、絶妙なバランス感覚で結果的にプラスの結果に持って行っているのは凄い事だと思う。キャラ立ちもしているので、敵も結構作っていると思うが、そういうのも全て糧にしているように見える。ネット戦略・ネットブランディングの天才だなと思う。
今回の絵本無料公開で話題で各方面から賛否両論があるようで、
「作品の無料公開はクリエイターにとってメリットになるのか、デメリットになるのか?」
という点で多くの方が持論を公開されていた。
(「お金の無い小学生の為に公開すると言いつつただのステマだったのでは?」という批判もあるようだが、今回はそこのテーマには触れないようにする)
僕の考えは、
「作品の無料公開はクリエイターにとってメリットになりえる」
と思っている。
というのは、実際、作品の無料公開をして成功している事例が過去にあるからである。
例えば漫画家の「佐藤秀峰」氏の「ブラックジャックによろしく」は全巻無料で観覧する事ができる。
【無料で全巻!ブラックジャックによろしく】
https://itunes.apple.com/jp/app/wu-liaode-quan-juan!burakkujakkuniyoroshiku/id556416566?mt=8
さらに、この「ブラックジャックによろしく」は「商用・非商用関わらず二次利用フリー」という、これまた非常に大胆な試みがされている。
【「ブラックジャックによろしく」が2次利用フリーに 商用・非商用問わず自由に利用可能】
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1208/20/news098.html
この試みは佐藤氏自身のレポートを読む限り、自身のブランディングのプラスになっていると分析できる。
【「ブラックジャックによろしく」二次利用フリー化1年後報告 前編】
https://note.mu/shuho_sato/n/na1c3e7c1aa60
【「ブラックジャックによろしく」二次利用フリー化1年後報告 後編】
https://note.mu/shuho_sato/n/neda36a41a7b3
幼児向けのYoutube動画として世界で総再生数1億回以上を記録している大ヒットムービーを作り続けている「東京ハイジ」も、無料公開が話題になりCD・DVDも売れている。
(「はみがきのうた」は現時点で4千8百万の再生数)
【再生回数が1億回!!東京ハイジがYoutubeで再生回数を伸ばし続けられる理由とは。】
http://kuon.ensan-blog.net/entry/2016/05/23/124309
【全世界のキッズから大人気!東京ハイジのYouTube動画が話題に!】
http://do-ra.org/2016/12/03/85004/
昨年話題になった欅坂46の『サイレントマジョリティー』のPVはYoutubeにフル尺で公開されていて、現段階で再生数が4千万超え。CDは女性アーティストのデビューシングル初週売上歴代1位記録している。
(【オリコン】欅坂46“女性歴代最高”デビュー 乃木坂46、HKT48超え)
このようにネットで無料公開する事でメリットになる事例は既にあるので、今回の西野氏の件は特別目新しい事ではないはずなのだが、ここでニュースの話題にさせて、賛否両論を巻き起こさせるというのが、西野氏の才能だなぁと感じる。
神馬個人の経験としては、Pegasus Arts Projectとしてオールプロデュースをした「紅絵巻」の第一章は、2014年から公式告知サイト上にて収録曲を全曲無料で聴くことができるが、2年経った今でもAmazon経由でCDが売れている。
M3等の即売会では「ネットで曲を聴いてCDを欲しくなって購入しました」という声を何件も頂いている。全曲フルサイズで聴けるのにだ。
一つ狙った仕掛けがあって、ジャケットイラストをイラスト総合サイトPixivで人気のイラストレーター「月岡月穂」さんに、ディテールの細かい書き込み型の作品を描いてもらい、あえてそれをPixivにて公開してもらった。
その狙いは的中して、紅絵巻のメインイラストはPixivでしばらくランキング一位になり、現在観覧数も40万件を超えている。そこからCDの特設サイトに人が流れてきて、楽曲を聴いた人が「この綺麗なジャケットイラストも含めて現物を手元に持っていたい」とCDを購入してくれた。イラストも楽曲も全てネットで鑑賞できるのにも関わらず、現物として欲しい人が実際にいるのである。
今後クリエイターによる作品の無料公開が増えてくると思うが、
「無料公開をどう話題にさせるか?」
この点が重要になってくるのではと思う。
【参考書籍】
日本放送出版協会
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